短歌は馬車に乗って

スイートなエッセイです

新居その1

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引っ越しして二週間が経った。

思えば京都に来てから幾多の引っ越しをしている。

最初は北野白梅町

すぐさま川端丸太町に移り、落ちつく間もなく七本松二条で姉と同居、嫌になって太秦近くにしけこみ(そこで闇おでん屋を始めた)、次は北白川かしら、落ち着く間もなく謎の気勢(恋みたいな…)を帯びながら関東に突入し、藤沢に転がり込んだものの直ぐいたたまれなくなり、なんていうとこだったっけな京急沿線の横須賀手前、漁村みたいな鈍行停車駅から徒歩十分坂の上のシェアハウスに世話になったこともある。金沢八景の近くだったな。

そこはたまたま住人の4人に3人が北海道出身で、たまたまながら不思議な気分になったもの。そこからバレンタイン特需のクロネコヤマトの仕分けに鶴見あたりまで通ったけど二日で嫌になって東京にジェネリック睡眠薬の治験に行った。出所したのち直ぐさぼうるに出向きキツいヤニを決めてお茶の水、得た金で衝動買いしたマーチンのトラベルギターは現在おおよそ多分、野口の家にあるかあるいは捨てられているか、している。

特に楽器にはけっこう悪いことをしている。

雑な扱いは言うまでもなく、弦は代えず拭くことも滅多にしない。すぐ出先に置き忘れるし、思い出した頃には取り返しのつかない状況にいる。ネックはテンションでじわじわ反り続け、たまに弾いても数分のテロテロで終了、いかにも可哀想だった。

そんな付き合いはもう辞めたいので楽器を持つ時は慎重になろうと決めたけれど、都度なんとなしに新しい楽器は欲しくなるし、次いでほったらかしにしたそれを思い出してソラで撫でたりもできなくはないです。

触感というか、やはり実際に手で、あるいは腕で、時にお腹で抱え込んだりしていたものなので。