短歌は馬車に乗って

スイートなエッセイです

横浜ぶらぶら日記7

すぐ消えてしまうので大切なことは書かないが、好きなこと、何にせよ大切なことしか書けないので、その塩梅が難しいけれど、今日は再度、大好きな新宿駅西口の喫茶店Pに結局、また来れているので、駄文が弾みそうだ。まだけっこう空いている、昼前に訪れた…

横浜ぶらぶら日記6

死ぬかと思った。 先週の桜花賞でボロ負けしたのである。 まじで死ぬかと思った。 昨日の皐月賞でボロ負けしたのである。 桜はとうに散っていて、冷たい雨は降るわ、きつい風は吹くわで、平穏というには程遠い春であり、そもそも春はそういうものだったよう…

横浜ぶらぶら日記5

以前、いきつけの居酒屋の大将に勧められて貰って読んで結局ハマってしまったハードアンドルーズという探偵漫画のおじさんの探偵は春が苦手で競馬が好きだった。「春は死の匂いがする…何もやる気がおこらない…」とか言って依頼電話を置き去りにして、事務所…

横浜ぶらぶら日記4

横浜に住み出してから半年にも満たないので、ぽっかり空いた、こんな小春日和の穏やかな日は何も考えず伊勢崎モールや野毛山なんかをぶらぶらしたいとは常々思っているが、そういう日に限って渋谷の焼き鳥屋でバイトが入ってたりするので、結局下北沢に来て…

横浜ぶらぶら日記3

天気予報士が言うには関東で、ほぼ二ヶ月ぶりに雨が降っていて、スポーツ紙には幸宏さんの訃報が飾られている。一月十六日。午後一時半。 なんとなく間が空いて、いつもクラフトワークがBGMの黄金町駅前の喫茶富士に、ほぼ二ヶ月ぶりに訪れたら、いつも通り…

横浜ぶらぶら日記2

一月四日。私は今、横浜駅西口の高島屋の裏手の喫茶店「8番街」に席を取ってブレンドコーヒーを頼んですすり出したところ。気分は競馬場の馬場コンディションで言えば「稍重」くらいで、「ややおも」と読む。前日に集中豪雨が降ってずぶずぶになった芝が、…

横浜ぶらぶら日記1

目黒のドゥーという喫茶店に来るのは二回目で、一回目はこの夏にフランスの移住ビザ待ちの人妻と彼の友達、昭和の某大アイドルの娘との待ち合わせに使ったんだけれども、これが案外大当たりで喫煙者専用の方舟みたいな、このまま、そのドゥーとたまたま居合…

東京日記23

一応、私の親方というべき服部さんは木屋町の三条を上がったところ、路地を東に入ったところにあるいやに古臭い、古臭い工法でセメントを型に流し込んで作られたらしい、酔っ払いにはスペース的にいかにも頼りない狭い階段を登った、一階につき一テナントを…

東京日記22

引き継ぎ停滞していて、停滞していると他のたいていの事象も停滞しているのが分かるというか、必然的にその手の事象に打ち当たるもので、西にひたすら歩いていたところ腰の核心がどうも座らない、ひたすらに腰がぱっとしない、元からそうだろうが、路面がず…

東京日記21

現在、わたしは京都にいるが、こちらに来て三日目で腰がやられてくたばっており、出稼ぎに来たつもりが、なんというか八月の魔都のぬかるみにハマってしまった感がある。 実際夜行バスで着くや、どんより蒸し暑くて気温と体温がどっちかわからんくなって朦朧…

東京日記20

既視感というか、うさんくさい話、ある場所にはある場所の憑依霊みたいなんが確実にいると思っていて、憑依霊みたいなんがソイツに合うヨリシロを求めて取り憑いている。 現存している人は一見もちろん人の形をして、こちらからしたら良く見える、それはまあ…

東京日記19

青山一丁目の深夜バイトはアートサイエンスプロジェクト(株)という会社の下請けをしているツバクロ揚重という昭和かたぎの荷揚げ会社のそれまた下請けという仕事で、ようするに解体、というか破壊されたトイレの壁材やら天井材やら間仕切りやら洗面器やら…

東京日記18

依然、慣れない肉体労働の反動が残っており、肩が回らない代わりに食欲が旺盛、よもやのパンプアップ期間か、動けば食わねばという強迫観念かもしれないが、とにかく食べてすぐさま寝て、を二度ほど繰り返したらとっくに一日が終わっていて、起きたら深夜の…

東京日記17

私は今年三十六になるので卑しいといえば卑しいのかもしれない、三十になるかならまいかの頃に、三十になったら二度とやらまいと意を決していたキセルをまたしてもやらかし、東海道を横断して京都に来た。所要時間はおおよそ九時間。熱海、浜松、大垣、米原…

東京日記16

おとついくらいからやたら雨に濡れていて、というのは無論傘をさしていないからなのだけれど、どうも傘を買っても借りても盗んでも、その後晴れたら確実に出先で置き忘れてしまうので、所望する甲斐もなければ邪魔だから元から持たないようにしているわけで…

東京日記15

それでやっぱり、週末はソワソワしていて、なんなら選挙投票日みたいなので、喫茶店Tへの道すがら、代沢の三叉路を惰性で選択、これは北進か、進んでいると、いかにも下北みたいな区画に入っていて人が増えてきて、店前の車道を占拠するように特設観客席を…

東京日記14

行動と記憶というのが毎度あやふやで、なんとなく夕陽を見ようか、と思って赤坂見附で地下鉄を乗り換え、四谷に来たら、さっきから分かっていたことではあるんだけれども曇天につき夕陽は見えないので、Rという喫茶店に来たらビートルズが垂れ流しの店だった…

正月

本格的にスカスカになって迎えた新年は名実ともにとても気楽で約束もなければ用事もないし誰に呼ばれもしないものだから、たいていからいつもそうだけどこちらから出向く。 三日に初めて寄った友人の住むシェアハウスは元田中のどちらかといえば陰気な通りに…

東京日記13

今朝起きて、外に出たら雨が降っていて、気分が良くなって喫茶店Tに行ったら既にカウンターは兄ちゃんとおっさんでいっぱいになっていて、その間に闖入した私はミーハーなのでモンクが流れていさえすれば気分がいいのだけれど、あんまり朝から客が多すぎて…

東京日記12

今、東京が異常に暑いと聞いていたけれど、実際はただ暑いというだけで、人々が非常に暑そうにしていたり、暑い暑いと言っているだけだ。 ただ今朝方、歩いて三軒茶屋駅前の喫煙所に赴いたら、先週までハイビジョンでけたたましく流れていたやたら喧しいキン…

東京日記11

ヨーイドンロスな気分を充電するため、ひどいときは週四週五で通っていた出町柳の喫茶店Gにモーニングをしに、まあまあ久しぶりに行った。 八時半のオープンから毎日同じ顔ぶれ、近所のおっさんおばはんが寄ってたかり、京大生なども混じるけれども、妙齢の…

東京日記10

あんまり意味はないのだけれど藉を実家に置いたままにしていて、今のところ東京では居候なのでもちろんそうする他ないわけで、先日母親から「国民保険が跳ね上がってる!市民税も!あんたのせいよ!どうにかしなさい!」と公衆電話越しに言われ、インスタの…

東京日記9

昨年だったか一昨年だったか細かいところは覚えていないけれど、木屋町のタバコ屋でフランシス・べベイという多分アフリカの人の音源がよく流れていた。アフリカン人力テクノポップというような趣きで、シンセ中心で一本調子ながら妙に愛嬌があって夏場にか…

東京日記8

雨が本降りになってきたのと時をほぼ同じくして寝ていて起きたら朝で晴れていた。「昨日の気分が嘘のように」とよく言うけれど、そんな感じでもある。そんな気分すら無かったようにも思う。いや実際は、見に行きたいライブイベントが下北であったんだけど、…

東京日記7

やっぱり悪い予感は当たってしまうものでしんや君に借りたチャリは新宿三丁目で撤去されていた。撤去ならまだいいが、なぜか施錠用のチェーンだけが歩道のガードにぶら下がっており、もしかしてうっかり鍵できてなかった?最悪盗まれているかもしれない。珍…

東京日記6

前回の日記(おとつい?)に「自炊に狂っている」と書いたが、そのせいか急に自炊に白けている。なおかつ食材もじわじわ枯渇していっている。文章に書いてしまって即白ける問題については、自分の中で再三、逡巡しているけれど、やっぱりなんでも書けばいい…

東京日記5

今更ながら節約するつもりが案外やっぱりできないタチで、それにつけてボンヤリここ何日か、自分のためだけの昼メシの自炊に狂っているのもあって、今日は三宿の豆腐屋で、お揚げさんだけならたった七十円なのだけれど、さすがに七十円の買い物だけではみっ…

東京日記4

年末年始にかけて、大切なレコードを売り払ってしまってから、抑制はしながらも結局レコード屋に入ってしまったりすると、まるでいつの間にか鼻詰まりが取れたていたみたいにすうぅっと、ちょうど欲しかった盤があったりして、そういう機会にはギリギリであ…

東京日記3

正午前にふらふらと北沢二丁目のコーヒー屋に来ると、喫煙ができる外のベンチ席五つはすでに満席、せっかく快晴なのでちょっと待って、先客が腰をあげた隙にすべりこむように着席、一服していると道路向かいでピンクの長髪のお姉さんがガーリーな古着屋の開…

東京日記2

こちらへ来て少し寂しいのは関西テレビのヨーイドンが見れないことだ。ささやかなことではあるけれど、でかいことはまあまあでかい。最近になって特に、とんでとんでで有名な円広志さんが関西の街をぶらぶらしてるロケに目を通すと私は九割型泣きそうになっ…