短歌は馬車に乗って

スイートなエッセイです

横浜ぶらぶら日記6

死ぬかと思った。

先週の桜花賞でボロ負けしたのである。

まじで死ぬかと思った。

昨日の皐月賞でボロ負けしたのである。

桜はとうに散っていて、冷たい雨は降るわ、きつい風は吹くわで、平穏というには程遠い春であり、そもそも春はそういうものだったような気もするが、毎年毎年去年のことは忘れており、忘れたつもりでいたら思い出して、世はなべてこともなし、は嘘。逆です、な感慨がひとしお。周囲も私も目まぐるしく変わる。細胞からしてまるで別物。三歳馬は四歳馬になり、あんなに輝いていた、去年応援した皐月賞馬はどこへ行ってしまったのか。願わくば、あのテレビ観戦時空、あの鰻ざくの美味しい満員の大衆居酒屋に帰りたい。みんなどこへ行ってしまったのか。そもそも私はどこへ行ってしまったのか。

ムービング。実は先週、横浜市南区某所からまた別の横浜市南区某所に引越しました。以前から引っかかっている、何か身近なことを文章にすると消えてしまうあれこれ、誰に読ませたわけでもないのに、が今回も例によってもたらされ、居住する部屋のことを書いたら、移住が決まってしまった。いつも不思議でならないし、新居のことはまだ引越したくないので詳細は書かない。ともあれ生き死にに関わることではないし、その他だいたいのことはレベル推移で、今朝も横浜市南区で目覚め、今は目黒区のドゥーにいます。久しぶりに寄れて良かった。

ドゥーは変わらず平穏で、カウンターで七十くらいの鳥打ち帽のおっさんが、こちらに背中を向け、薄いいびきをかいている。こともなげな時間を過ごすため、月曜日からこちらに能動的に寄る人々。いつもの人、イレギュラーな人。

私はどうして、動くべき、動かすべきなにがしか、を書かねばならない。目まぐるしいマイナーチェンジを繰り返す浜崎あゆみの顔みたいな。どうかしてどうせいずれ読んじゃう村上春樹の新作みたいな。たとえば、いずれ十数分で辞去せねばならない喫茶店ドゥーについて。時間的肉体的に負荷がありすぎるバイト先の焼き鳥屋について。吹いても吹いても擦過音しか吹き出してこないトランペットのマウスピースについて。ここぞというときに動かない繋がらない型落ちのスマートホンEないし格安シムサービスQについて。勝負どころで当たらない馬券Kまたは走らない馬Gさもなくば騎手Tについて。そんなに値段が張らなかったはずの王将の天津飯について。吐きたいくらい進展しない謎の恋愛について。

絶望的な文章ですが、昨日の皐月賞のあとの福島最終レースがめっぽう当たって生き永らえています。あきらめないことの尊さを学びました。ギャンブル競馬の神様はやっぱり野毛ウインズにいます。計らずも勝ち馬のジョッキーは新人未勝利騎手でした。田口くんあるいは未冠のおっさんKおめでとう。

調子に乗って喫茶ドゥーにて。コーヒー豆、イタリアンとマンデリンをダブル所望。バイトに遅れそう。