短歌は馬車に乗って

スイートなエッセイです

東山湯の奇跡本編までの軌跡

f:id:kon-fu:20200730174840j:image

市バス17系統に揺られている。

雨がだんだらに降っており、バスが走行・停止を繰り返しているのは何時もながらだろうが焼けに呼吸のリズムと其れが合っているような気がして不思議。

頭の奥からみゅーーん、という音がしているのでふっと意識の波長がそちらへ流れてしまって窓外の緑が際立つっつうか、懐かしくて、どうでもいいけど凄く好きな過去みたいな風景だなあ。どっちみち流れているけど、、

 

ストップandゴーは思いの外きもちいい、という発見。

ティアドロップ型のグラサンを思い切って決めて、農学部近くの喫茶店に入るやいなや既にマーヴィンは観客の喝采の途中で、もしかしたら客によっては嫌がらせに聴こえてしまうかもしれない。

バーズのヤンガーザンイエスタデイというアルバムが大好きで、その表題曲だったかな?定かでないけど、曲間に嘘の客の大喝采が挟まれる所があって、たしかA面の最初の曲だか其の次の曲。

それはビートルズのアンソロジーのライブ版で聴こえてくるマジほんまの客の大喝采に対する僻みみたいに聴こえなくもない、けどどっちかつったら偏屈なオマージュかな。

小生も何でか生まれたときから捻くれているんだけど、ひねてる故にビートルズよりもバーズの其れで高揚してしまうフシがあって、それは今でも変わってない、それでももう三十路をとうに越えたのでビートルズの赤盤でも全然腰ふれます。やっぱ盤はええなあって、この歳でやっとこ分かる、バーズも(Nシャラポアも)やっぱスピード感あるなあ、って一人で再確認。

 

バーズの件はさておき、こともあろうに私はこちらに入店する大分まえから既に腰を振る準備が出来ていて、何というかソウルに魂を売ってしまっているというか、とにかくカセットで、繁忙時とか時によってはエンドレスリピートされている農学部近くの喫茶店のBGM用のカセットの良さが今春に至って漸くわかった。

だからといって、カセットだとかアンプだとかスピーカーや曲の内容が良いんだよ〜っていう訳では多分なくて、それも勿論あるんだろうけど、つまり僕がこの街を離れている一年くらいの間に此方の喫茶店にニュースタッフのDJが入ったんだよね。彼女が多分、店と音楽が大好きなだけ、ソウル売ってんのがフウっと分かってしまう。知らん曲でも「フウゥ〜」で、あ、これマーヴィンやん、て分かるみたいに。持ち前のコード感みたいなんも勿論あります。

 

そんなことを考えながらもコロナなのでバスの上窓がしれえ、と開いていて私的には可也助かる。

外の空気が好きなんです。

「夏なんです」より「夏の前日」のが好きなんです。

日傘くるくる僕は退屈。

 

日を避けて草陰に入り藪蚊かな

 

俳句も詠める。

 

雨の具合が丁度よくて傘がなくても結構いける。

三条河原町で同じくしてライドンしたピチピチのジーパンを履いた何となくステキそうな女の子の空気を背後に感じながらバスの真ん中あたりで私は立ち乗り。

ふと停まってエンジンが止まって隙間風が鼻にフウっと入って来る。

意識が景色に向くとバスの車高によって並木に生えてる割と高い木の緑と目が合う。

そしたら、入ってくる風の要素に緑がパッと加わって丸で排気ガスを浄化してくれるみたい。

停まったら停まったで、ええ空気入ってくるしバスってマジさいこ〜、って呼吸を繰り返していたら、農学部前で件の女の子が先に降りて何かリッチな学生マンションに吸い込まれていった。知らない誰かの住居が特定されるのは恐ろしいな、俺は理性があるから忘れたフリも出来るが斯ういうコトに関しての記憶力は死ぬほどいいのだ。

兎角、街には可愛い女の子が多過ぎる。

それはNシャラポアも「牛のよだれ」っていうアシッドフォークの珍曲が書けるわ。

みんな天然の当たり屋か!って、いつも市街地の六角通りあたりか、で、往来を眺めながら思っている。

めいめい気を付けろよ!

 

気を付けられ過ぎても困るんだけど、そんな感じで竹林の坊主の店に辿り着いた。

四周年のアニバーサリーナイトだと聞いていたから、あれやこれや喝采みたいに、劇場みたいな大盛り上がりというか、ようするに人で一杯みたいな状況を想定していたのだけど案外客は誰も居なくて、坊主はいつもと変わらない態度で迎えてくれて、それはそれでとてもよかった。

渋いな、とも思った。

それはまるで、私が敬愛する百閒先生の書き物みたい。

つまり、今晩パーティがあるんやけどパーティつうのは人に振り回され過ぎるフシがあるさかい行きたいのは山々なんやんか、ほんま行きたいねんけど今なんか気が乗り切らんし家でしっぽり何時も同じクオリティの沢の鶴みたいな日本酒で済ませますわ〜、せやけど勝手に、ウチが参入させてもらってる体で、パーティの風景書かせてもらいまっせ!!

ていう感じに、色々バスの中で勝手に想像してしまっていて、それもそれで結構良かった。