短歌は馬車に乗って

スイートなエッセイです

ソカイ日記02

フィッシュマンズに取り憑かれる季節〜

は、唐突にやってくる。あら、そろそろお盆かしら? あいや、まだ梅雨ですね。梅雨にしては極端な雨模様で、からっ晴れをつんざくような夕立ちが激しい、梅雨って前からこんなだったかな、晴れてても湿気きついしどうせなら降ってえな、ところでアジサイが綺麗だな、去年アジサイ見てたっけ、さだかでないな云々ぼんやり、とりとめなく出窓の外の往来を眺めながら考えていたら店主のダロンド氏が宇宙日本世田谷ウェザーレポートを回し始めていて、かくいう私もこれがめちゃくちゃ好きっていうか、大学で京都に来たくらいにいちびって聴いていたら、意思や目的を置き去りにリピートしており、なんか浸透圧がすごくてエンドレス、いつのまにか朝が夜になっていたり丸で、気付いたら俺はウツだった風景、街の中に消えてって、、

刹那、かのダロンド氏はマジックラブを飛ばした。

何故、と問はば、

「俺、なんかこれだけあかんねん」とな。

なんでやねん思うと同時にそういうのがなんか助かる気もする今日この頃。

次の日も又ダロンド氏の店では朝から宇宙日本世田谷、ちょうどマジックラブがかかりだすタイミングで客が来たので、しゃあしゃあとマジックラブは飛ばされることなくドラムロールから流れ出した。

客の茶を用意する店主は、ながら裏声でハミングなどしておるので、

「この曲嫌いなんちゃうのん」

と訊いたら、かかってもうたし、しゃあないやん、

「てゆうか、俺知らん間に口ずさんでるわ、恥ずかし」

とか云ったので笑い合った。

それから、なるたけ何も考えないようにして山を遠目で見ながら川沿いを歩いているときなんかも、意識の細かい隙間を縫うように、ウォーキングインザリズムとか、染み込んできて、振り払えど振り払えど知らん間に、振り向かないで、とか裏声で歌ってたりするので、これはもうそういう季節なんだろうし仕方ないかと納得することにした。

去年も、唐突に新宿あたりの飲み屋で、シーズン(?)が流れ出し似たような感慨を持ったようなセンチメントが去来したような気がしたけど、京都で聴くそれと違っていい意味であっさりしていて普通に踊りたくなった。

ここらへんが地の利というやつか、さりげなく流れ出しさりげなく去っていく。

ダロンド氏はそのショートブームの終わりに、

「せやけどかぜで死ぬのは反則やわ」

と、云った。いかにも同意でござる。

とか思い返しながらも、また流れているインマイヘッドなので仕方なく日記にした、の繰り返しで止揚しようか、してたまるか。