短歌は馬車に乗って

スイートなエッセイです

ハチクロ観光

f:id:kon-fu:20200310115739j:imageこないだで東京に来て一年になった。

なんか、いいことないかな、とぼんやり期待してたら記念日の前の晩にツイッターで回文でもって連絡が来て山登りに行くことになった。

あさ、やまいく、いまや、さあ!

ベルク来るべ!

というわけで開店時間から新宿のベルクで待った。

僕がツイッターに毎日回文を投稿し始めたのも昨年の三月一日からなので、その点には関心、あまりないだろうけど気の利いた友達はタイミングがテキトーにいつもいい。嬉しく思う。

ちなみに恩師の娘さんの誕生日でもあるから、

それを意識しだしてからイヤガオウニモ春の始まりを毎年かんじずにいられなくなり、桃の若枝をいつも心で手向けている。いつまでも、芽がひょこっと出ているくらいの、すこしく緊張しているような、警戒しているような、青くさいかんじが好きだ。

ただ人はしだいに芽吹くし、こなれてくるし、勝手に爛漫になり、自信もついてくるから、それも同義上は祝福に値するに決まってるんだけども、個人的に偏った趣向は変わらない。

いつまでもこなれなく生きよう。

こんな場所にこなれても仕方がない。

それで、逗子の山を越えて葉山の海を見にいく、というおおよそのプランが立ったので、まるでハチクロみたいだな、と手前勝手に思ってうきうきしながら電車に乗った。

小生は恥ずかしながらハチクロがたいそう好きで、嵐の櫻井くんと蒼井優が主演の映画のやつ、何回も視返しては安いあの世みたいなキラメキを味わった。いまでは若隠居みたいな加瀬くんも良かったな。あと、なまえのしらない女優さんも、あとあの、誰だっけ。堺雅人の目つき!

さりながら、猿田彦と桃太郎と猿とキジと犬のぼんやりした敵のいない日帰り旅である。

山慣れた猿田彦はうさぎみたいに地道を嗅ぎつけてはぴょんぴょん跳ねた。

桃太郎は釣り竿を携えて魚を探した。

猿はひたすらに水辺を求めた。

キジはやたら空を志向して、犬は坂道に戸惑いながらも同類の亡骸を観念しながら歩いた。

海が見えたら目的がなんだか直ぐに忘れてしまって早くお酒が飲みたくなった。

猿田彦にはどうやら久遠たる目的がちゃんとありそうである。

依然として桃太郎は生気に満ちている。

無邪気なキジと犬の哀愁のコントラスト。

紫色の夕暮れを拝んでお菓子をたくさん食べて疲れ果てて解散した。

みんながどうだかしらないが、猿は改めてくだらないことをたくさんしたいと思い直した。

ひとときであれ、旅のあとはどうもうまく現実に馴染めないみたいで、ちょっと骨が折れているけども。

あと、ツイッターハチクロ感が無さすぎて、さいきんぼんやりインスタに移行してる。

ツイッターは回文が勝手に流れる仕組みにした。思いつきでたまに書き下ろしも投稿してる。

そんなのどうでもいいんだけど…

新宿西口ピースにて