短歌は馬車に乗って

スイートなエッセイです

尻子玉3

f:id:kon-fu:20191210013108j:image今朝は抜く尻の毛もないくらいビンボーであらかじめ決まっている仕事現場への電車賃すらなかったので少しばかり早起きして自転車で行ってみることにした。

気分は案外せいせいとしていたし存外早く着いたので自分でもちょっとびっくり、上野はけっこう近かった。

気分のいい日や、逆に塞ぐような日はとりあえずチャリで神保町へ行く。喫茶ハイボールでコーヒーを啜るためである。神保町から上野が案外近かった。

僕が今より更に東京のミーハーだったころに、どうせなにか古臭い純喫茶をいっぱい載せた雑誌かなんかで見つけて最初は来たんだろうと思う。

茶店の業務というのは適正はあるのかもしれんけど基本的に誰でも出来る仕事ゆえに言葉にしにくいスタッフ個人個人のふんいきに店の大部分の雰囲気が左右されてしまうことが良くも悪しくもあり、しかしながら例えばタリーズなんかは黒の細身の綿パンに濃い茶色ぽいポロシャツにエプロンみたいに決めているので、たちのいいような若い従業員が勝手に入ってくるみたいで、個人個人、どの店ぽに行っても素敵な人はたいていいるけど、そりゃタリーズだしね、みたいに妙に冷めちゃうところがあって読書は捗りそうなふんいきになってそれはそれですごく良い。

で、喫茶ハイボールは読書が捗らない。

特にぼんやり行った約十年前はなんとなく小粋な若い男女のスタッフがいっぱいいたのをなんんとなくぼんやり言語化して覚えていて、その名残を勝手にひきずりながらぼんやりしてしまうので。

ただ、スポーツ紙がニッカン、スポニチ、読売など各三部ずつくらい置いていて(そんなに重複で置いてる喫茶店を他に知らない)気が紛れる。

それに当時はまだオーナーと思われる老翁が健在であきらかに居るだけで店の空気をきりりとし、しっくり来させていた。

(現在のまだけっこう若い後継ぎさんもインドのぼんちみたいでなかなかいい雰囲気だけど、、)

そこにいけしゃあしゃあ通ってそわそわと絶妙な少なさのホットコーヒーを啜り、それについてくるソルトピーナツを齧ると、一体すぐ無くなってしまって、とりたてて何があるわけでもないのに二杯目を頼むはめになる。

この節の、まだもう少し以前の節に一度、半分本気で東京に移住しようと思いたったことがあって、錦糸町

 

↑消えちゃった