短歌は馬車に乗って

スイートなエッセイです

尻子玉2

f:id:kon-fu:20191209064904j:image家から一番近いミニストップのオーナーは中国人で深夜に赴くとまず従業員はレジにはいない。店内奥にアイス売り場と座れるフリースペースがあって、たいていそこらへんで若いアジア人の兄ちゃんが気怠そうにもぞもぞしているので、フロアはたいてい無警戒、何回も本気で万引きしようか迷った。

その時はその都度、お金とか食い物は大事にしようと思うわけだけれど、カスカスになるまで忘れていて同じドツボにはまってから、ああなんか逡巡してるなあって気付く。

今朝の有り金はラインペイの百八十数円だった。

昨日の昨日に仕事終わり大井競馬場まで行って、行った先の九レース目とかで買った穴馬がぎりぎり三着に食い込んだように見えたが四着、複勝とワイドに合わせて三千円くらい掛けていたので、鼻差で三万円か四万円分くらい違う、つまり負けたわけだが、その確信的に当たったと思った馬券が鼻差で外れてたことに、ぐしゃぐしゃっと音を立てて気持ちが潰れてヤケを起こしてしまった。多分すごく疲れていたのもあろうし、というのも次の日予定をすっぽかしてベッドにへたりこんだら、へたりこめないくらい腰が痛くなっていたので、どうもやっぱり先週、火曜から通い詰めた上野の一軒家の外壁工事職人の手元作業がタフ過ぎたみたい。

四日間であらかた壁も出来てなかなか達成感があった気がしたけど、やけみたいに競馬ですって、残ったのは腰痛だけだったし、無理がたたったところも確実にある。

ほんでほぼほぼ飲まず食わず釈迦の伏し方で朝を迎えてミニストップで何買おういうた時に百八十数円つうのはかなりけっこう些少でパンと飲み物という組み合わせがまず買えない。パンとパンもまず無理で、つまりぎりぎり飲み物ひとつかパンひとつしか選択肢がなかった。

今日もひとつ友人に金の無心はしてみるとして、結果無理だった場合、モーニングコーヒー飲んで無一文になっても仕方ないので、一番でかい菓子パンを買った。

りんごの細切れが入った白いベタベタした砂糖が上で固まってるもっさりした、丸い、真ん中が抜けている奴である。

理性的なセンチメンタルでなく、ふとガキの頃によく食ったことを思い出して、なんだか懐かしいような情け無いような気分になってはいたけど、それを秒で搔き消しながら貪りついた。

とにかく腹が減っていたので。

それで持て余して、はじめて近所の図書館に行ったらけっこうよくて、もっとはやく使っておけばよかったとも思ったけど、こちらにきてからずっと深夜まで厨房仕事に酷使ってたので、そもそもそういう余裕も無かったな、適当にジョージハリスンの自伝を手に取って初めてジョージが庭仕事に凝っていたことを知ったりもする。タックスマンもジョージの曲なんだな、とか。シタールにハマってたのはジョージなんか、とか。みんなそんなのとうに知ってんだろうな。

自伝はほとんどが歌詞(の和訳)だった。

で、アリマストビルの岡さんという人の自伝のような本を読んだ。岡さんは三田に狭い土地を買って家を建て続けているらしい人で、もしかしたら今も作っているかもしれない、今、関わっている仕事が仕事だけに、何かと思うところのある話で、身につまされるというか、いちいち引っかかるというか、喉の奥ででかい骨がごろごろいってて、もうちょいで取れそうで取れそうにない!

みたいな気分でやがて腹がまた減ったので、一策を凝らして、初めてウーバーイーツを使った。初回千円オフのクーポン情報が載ったビラが落ちていたのを思い出したからである。これを使えば金を下ろせないデビットカード口座の残額でけっこう食えるかもしれない。

アプリのダウンロードにものすごく時間がかかっていたら、

その間に日本と香港で競馬のG1レースが五つも終わっていて、

なんだか、わーってなって、

わーって頼んで、わーって注文が受理されて、めちゃくちゃ近いモスバーガーで頼んだんだけど、近い割にはなんか可愛い女の子がはあはあ言いながら届けてくれて、なんでか余計凹んだし、わーって食った、正直ものすごい空虚な感じが残ったのは残った今回ばかりはウーバーイーツに救われた。

そのあと、パンピーが自分のアルバムの解説をしているアルバムをスポテファイで聴いた感じ。正直腰を振って踊りたいだけなんだがなあ。