短歌は馬車に乗って

スイートなエッセイです

目覚めるとみぞれ 地下鉄に乗る

ふと青空文庫を読みだしたのは入院する少し前で、最初は飲み屋で勧められていた谷崎翁の細雪を読んだ。たたみかけるような関西弁の会話廻しにはまるとのこと。文庫を買うのをけちってタブレットをいじっていたらこの小説が収録されていてけっこうびっくりし、すんすん読んだ。電子文への抵抗よりも案外やっぱり内容が大事なのか、はたまた初物ということに推進させられたのか。上中下巻あるなかの下巻はネット上には未収録で結局ぶあつい文庫を入院中に買って持ってきてもらったけれどすでにあらかた興味は失せていたようですかすかの惰性で読み終えた。たまたま上中巻のが面白かったのかもしれないが、青空文庫で偶発的に意欲にドライブがかかったところも実際あると思う。
これはスポティファイを使いはじめたときの感覚に近くて最初はなんとなく既知の音楽を、おやこんなのもあるのかいな、と感心したところすぐに飽きて(だいたい聴いたことのある好きな音源は勝手に頭で再生されるし)、知らない古いファンクとかブルースとか適当に聴いてみたらすごいぐっとくる発見がたくさんあって面喰らってしまう感じが青空文庫と重なった。
まぁでもやっぱり手軽なぶん経験的には軽くてすぐ忘れてしまうのはしまうんだろうけど、超カルト的な、穏当にはなかなか出会えなさそうな作品とかちあってしまうのが面白い。
ともあれ導引は谷崎翁で、もともとミーハー的な食わず嫌いというか学生の頃に初期のおどろおどろしめの、主人公がみせもの小屋で蛇を飲み込む女の芸にはまる話とかの短編集を読んだことがあるくらいで傑作と称されるようなものはろくすっぽ読んだことがなかったこの感じはマービンゲイの食わず嫌いに近かった内容はまずどちらかといえばどうでもいいけど、円熟期のしれぇとしながら心地よくスムースに地獄下りをしていくようなコード感というか、、こういうのは説明がむつかしいけれど、現実と地続きのあの世感みたいのがいわゆる王道の傑作のなかにあって、変な言い方したら聴きながら、または読みながら逝きたくなってしまったように思う。
そこから、
www.aozora.gr.jp