短歌は馬車に乗って

スイートなエッセイです

東京日記10

あんまり意味はないのだけれど藉を実家に置いたままにしていて、今のところ東京では居候なのでもちろんそうする他ないわけで、先日母親から「国民保険が跳ね上がってる!市民税も!あんたのせいよ!どうにかしなさい!」と公衆電話越しに言われ、インスタのラインで姉からも「お母さんがぶっ倒れそう!あんた何とかしな!」と残されていたので渋々、京都にいるけれどどうして慣れなくなくはない。何を食っていいかわからないのがデカい気もする。

帰ってみたら姉のラインは予想通り「盛り」強めで、さすがに母は「ぶっ倒れそう」ではなかったが、テレビのニュースの影響であろう覚えたての東京ネガティブキャンペーンを披歴してくるわけで、「あなた、東京の暑さはどうも異常よ」とか「電気代の節約を市民に促してるのよ。まあどうせ、原子力発電の賛同票を操作しようとしてるんでしょ。それにしても大変だわね」とか、まるでそっちを体験してるみたいに色々に言ってくるので、こちらも住んでるかと言われたら切実に住んでるわけではないんですが住んでる人が周囲にいるわけだから、なんとなく腹が立ってきて、適当にあしらったり無視したりしていると、「やっぱり間に子供がいればねえ。大人と大人の関係は結局ぎすぎすしていけないわ」とか捨て台詞を吐いて居間を離れ、テレビがあって冷房が効きまくっている二階の姉の部屋へ移って行った。さすがに卑屈が過ぎる。元田中くんだりの賃貸ボロ一軒家に住んでいる肉親達ではあるが、ノアの方舟に揺られているような気分で日々を過ごしているのだろうか。上の姉は巨人が勝った負けたで夜更けに喚いているばかりだし、狂っていると言っていいですか!って感じで、もうどうしようもない。すぐそこに鴨川があるのに、老犬の散歩にもろくすっぽ行かないで…

自分は釈迦だとは今後七回生まれ変わってもよう言えんが、手塚先生の描いていた釈迦同様、実家が差し出してくるパンと白米を食べ過ぎて久々に腹を壊して、寝込んだ。

それで仕方なく、ハローワークに行って虚偽申告をいくつかし、求職状態にあるという免状をもらい、税務署に持っていき、市民税減免の赦しを貰い、その足で左京区役所までバスで行き、国民保険の減免の申請に赴いたが、個人的にいつも世紀のダウナースポットと感じている区役所との相性はいつも通り極めて悪く、なんやらかんやら能書きをつけられて結局、また違う書類をかきあつめに奔走し、松ヶ崎という辺鄙なところに戻って来なければいけないことが分かっただけで徒労という他ない。すでに分かりきったことではあるがなんというか、カフカ的徒労である。

ともかくまったくアテにしてなかった失業保険がどうやら貰えるみたいなので、少なくとも悪銭ではあるが、期間中は懲りずにカフカ的徒労を繰り返さねばならない。ウンザリするばっかりだし、どうせ競馬に突っ込んだりするだけのことなんだろうけども、そうすればいくらかの馬鹿にならない控除税金がお国のために返納されることでしょう。