短歌は馬車に乗って

スイートなエッセイです

ソカイ日記7

f:id:kon-fu:20200427221829j:image枕元で携帯を見ていたら枕元に二三ミリの甲虫がいる。黄土色と黒に近い茶色のだんだら模様の甲で、産毛ほどの足がたくさん動く。そろそろとこちらへ向かっており、ゴキブリでもないしテントウムシでもない何やろうなと思いながら思わず不意に鼻で息を吸ったら入ってきてしまった。

むずむずはしたけれど仕方がないのでそのまま寝たら必要以上によく眠れた。

この頃パスタの自炊にはまっている。

パスタへの執着は食べた次の日の朝から始まっていて、目覚めてふと脳裏をかすめるのはじんわりと火をいれたニンニク油の匂いである。このニンニク油を麺の茹で汁で乳化させたらそれだけで麺がいくらでも食えて匂いが四六時中頭の中をうねっている。

乳化というのは油と水が熱によって合わさる奇跡みたいなとろとろ現象だ。

この狂ったようなうねりを誰かに伝えて一緒に悶々としたい。

イタリアの人々がいつもこの気狂いの中にいると想像すると又更に気が狂ってくるような気がしてくる。

ちなみに、少し姑息なんですが、オリーブ油のかわりに米油で火を入れて最後に旨いオリーブ油を回しかけると抜けのいい余韻がくあああ、と突き上がってきておすすめです。