短歌は馬車に乗って

スイートなエッセイです

多幸症ーオレティファイー

My Girl

My Girl

こないだ花見の盛りに神楽坂のサバエちゃんの店に寄った折、ずっと頭のなかでオーティスレディングが鳴ってるんよ、オーティスレディングのマイガールがさ、と伝えるとサバエちゃんはニヤニヤ笑いながら「ほんじちゃんあんたそれ多幸症だよ」と一言告げ、よかったじゃーん、と付け加えたあたしの頭の中でもいつもジュリーが歌ってるもん、たしかにサバエちゃんの店ではBGMが流れていない、無音である、だからといって完璧な無音ではもちろん無くコーヒーがサーバーに落ちる音とかネコの抜き足とか電気ストーブがじりじりいってる音とか聞こえて、まんじうのオーダーが入ればまんじうがじりじり焼ける音がし出す、お互いシアワセだねぇ、と言われ、悪い気はしなかったが帰ってその多幸症とやらを調べてみると、どちらかといえば否定的なニュアンスだったすなわち「客観的にそぐわない空虚で無内容な爽快な気分状態」らしい。無内容ていうのは回文的だとも解釈できるしよくわかる、ただこういう書き方をする人は幸せの瞬間の波紋の中の刹那に振れ動く絶望みたいなものをちゃんと感じたりしていないんだろうか。そこに客観性は必要なんだろうか。
ともかくいつも何かが鳴っていて回っていて、雨の日は雨の日でしとしとぴっちゃん、今日も僕は幸せでいる。
そんなもんだから仕事中凡ミスをして怒られたりもするなぁ。