短歌は馬車に乗って

スイートなエッセイです

いぼころり外患とれて月が出て街路芝刈るあいだから仔猫飛び出しひた駆けていく

ふと思い立ってRくんの家に行った確か大阪京都の地震の数日後だったけどそこそこ揺れたことなんかさっぱり忘れてた、それからスイートについてまるできれいさっぱり忘れていたつまりあれだゼロコークパルスイートときめかない日常お釈迦さんだって宮廷暮らしに飽きて妻子捨てて出家したのにあんな敬われてるワンダーフィロソフィーオブザワールド日々円満それ怠慢もしもピアノが弾けたならすでに弾いてる縁側で、、ジエンドオブザデイ
Rくんには二歳になるかならないかの娘がいて二人で暮らしている娘の母は友達だったから祝福したつもりだったけどひとりで颯爽と地元に帰ってしまったそれはけっこうすごいことだある意味釈迦イズム反社会的行為Rくんに対しては少なからず不憫に思うけど産まれて間もない子を置いていく彼女Iちゃんを無条件に肯定してしまう自分もおって、他人事ではあるけど自己がぐちゃぐちゃになってしまうのだ、風が吹いている、風がさわぐ夜は家に帰りたくないよヘイヘイヘイということで夜分にいきなりRくんの家に突撃訪問したわけ、事前連絡は嫌いだ何故なら驚きが減るから、緑黄色野菜は概ね好きだ特に緑のやつ、Rくんは父子みずいらずを突貫した僕を快く迎えいれて、風呂入ってくるから飯作っといてよと無茶振ってくれたニラとレバーあるから!ニラレバはあちきの得意料理である故ノリノリでつくる、家や店でつくる料理はものすごくつまらないのになんということでしょうな、慣れぬ炊事場で鍋やらさいばしやら調味料やらを探しながらする料理が一番楽しいのかもしれない、Rくんの親戚から送られた米もすこぶるうまくてともかくこういうのが自分にとってのスイートな気がしたよ彼の娘もいたく陽気でクマのぬいぐるみや果物の絵本で遊ぶやっぱりウチの息子ちんとはえらい違うなウチのは硬質的なものをより好むだいたい電車、Rくんは言う、今日泊まっていってもいいけどさ地震が怖いだろうから帰ってあげた方がいいよー、その発想がまるでない自分に鏡合わせになる冷酷なのでしょうか、そうだねーとお茶を濁す、なんとなく心が別居に向かっていた、不満があるというよりノンスイートなのだ心がまるで伴わないそれを誰かに言いたくてここに来たのかもまとめてみんな一緒に暮らせたらいいな、ただうちの配偶者はそういうとこ常識人だからNGだろなーとかしかしこのままではノンスイート生殺しだ春夏秋冬逡巡地獄それにしても〇〇ちゃん人懐こくなったねーこの前は僕が抱っこしたら泣き叫んでたのに、そうだねー確かに人慣れしたかも保育園行ってるし、まぁ映画でもみるか、とRくんはネットフリックス(便利な世よの)でシングストリートという映画を引っ張ってきた、アイルランドの中坊が家庭崩壊を尻目にバンド組んでソリッドアップしてサクセスしていくストーリー80年代のイギリスのバンド色々引用オマージュしてるいかにも単純で単純すなわちスイートで癒されたしキュアーはいつでも泣きたくなるくらいスイートなんだな、この映画では流れんかったけどフライデーアイムインラブすごすご靴を履いて出ると玄関先に徳大のあじさいが植えてあるのに今さら気付いたIちゃんがいたときの方がもっと寂しげな家だったなアイワンダー

シング・ストリート 未来へのうた

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